神様たちとのんびりお酒を飲んだり、スシを食べたりしていると、ひさしぶりにゆったりした気持ちになれた。夢のなかでゆったりっていうのもおかしな話だけどさ。あとはここでバーベキューができたら最高だな。 そんなことを考えながら甲板に寝転がっていると、それまで雲ひとつなかった空が急に曇りだしたのに気がついた。風が強くなり、波が荒れてくる。嫌な予感がした。飛び起きてあたりを見回すと、沖から不気味な風体の黒い船がすごいスピードで近づいてくるのが見えた。神様たちは天候が変わったくらいではまだのんきに構えていたみたいだけど、ちょっとその船には驚いたようだ。 逃げる準備も整わないうちに、不気味な黒い船はすぐ俺達の船のそばに停泊した。その船も大きくはないものの、こっちの3倍はある。そしてその船の甲板に、俺のよく見知った人物が現れた。 「おい、そこの船、荷を寄越せ!そこの食い物と、宝を全部だ!」 羽がついた帽子をかぶって、じゃらじゃらと金属のついた派手な革の上着を羽織っている、まさにこれぞパイレーツ・オブ・カリビアンといったファッションだ。でも、それはまごうことなきイギリスだった。 俺は甲板から身を乗り出して、声を張り上げて叫んだ。 「イギリス!やめてくれ!みんなが怯えてるじゃないか!このひとたちは日本の国の神様なんだぞ!」 「そんなん知るか!アメリカ、お前はこっちの船に来い!」 波音にかき消されないよう、イギリスも大声で叫んでくる。 「嫌だよ!だいたい君、ハロウィンでもないのにそんな格好して、恥ずかしくないのかい!年相応にふるまってくれよ!」 「うるせぇ!お前に言われたくねぇよ、ガキ!飲酒は21歳からだろ!」 「21歳って…君、俺がいったい何歳だと思ってるんだい!」 次の瞬間、イギリスは手に持ったクラシックな銃をこちらにむけて2、3発続けて撃った。人を狙って撃った向きではないとすぐわかったものの、銃弾はすべて見事にこっちの船のマストにめり込んで、かわいそうに日本の神様たちの混乱は極みに達してしまった。そして彼は元ヤンの名にふさわしい冷えきった目で俺を見下ろし、銃口を俺に向けて、はっきりと宣言した。 「これ以上抵抗する気か? 俺のところに戻ってこい、アメリカ。そうしたら攻撃は止めてやる」 n e x t |